キャリーケースの鍵に関するトラブルの中で、圧倒的に多く発生するのが、三桁のダイヤルロックの暗証番号を忘れてしまうというケースです。さっきまで覚えていたはずなのに、いざ開けようとすると頭が真っ白に。そんな経験をしたことがある人は少なくないでしょう。しかし、このタイプのトラブルは、絶望する必要は全くありません。なぜなら、時間と根気さえあれば、特別な道具も技術もなしに、誰でも必ず開けることができるからです。その最も確実で、ある意味で究極的な方法が、地道に「000」から「999」まで、全ての組み合わせを一つひとつ試していくことです。一見すると、千通りもの組み合わせを試すのは途方もない作業に思えるかもしれません。しかし、実際にやってみると、意外と時間はかからないものです。一つの番号を試すのに二秒かかると仮定しても、千通り試すのにかかる時間は二千秒、つまり約三十三分です。テレビを見ながら、あるいは音楽を聴きながら、無心でダイヤルをカチカチと回し続ければ、必ず正解の番号にたどり着くことができます。この地道な作業を少しでも効率化するためのコツも存在します。製品によっては、ダイヤルを回しながらロック解除ボタンに少し力を加え続けると、正解の番号に合った瞬間に、感触が軽くなったり、カチッという微かな手応えがあったりします。また、ダイヤルのホイールの側面をよく見ると、特定の番号の時にだけ、内部の構造が見える小さな隙間や溝が現れるタイプもあります。こうした微細な変化に集中することで、やみくもに試すよりも早く正解を見つけ出せるかもしれません。いずれにせよ、ダイヤルロックの番号忘れは、物理的に鍵が破壊されたわけではないので、焦る必要は全くないのです。旅先での思わぬ空き時間を使った「脳トレ」だと思って、根気よく挑戦してみてください。その先には、必ずパカっと開くキャリーケースと、大きな達成感が待っています。