鍵が鍵穴の中で無残にも折れてしまった。そんな絶望的な状況に直面した時、私たちはどう行動すべきなのでしょうか。自力での無理な対処が危険であることは前述の通りです。では、安全かつ確実に問題を解決するための、正しい手順とはどのようなものでしょうか。まず、最初に確認すべきは「鍵の破片がどのくらい鍵穴から見えているか」です。もし、破片の先端が鍵穴から少しでもはみ出しており、指先やピンセットでつまめる状態であれば、慎重に引き抜ける可能性があります。この時、焦って強く引っ張るのではなく、鍵穴に対してまっすぐ、ゆっくりと引き抜くのがコツです。少しでも抵抗を感じるようなら、無理は禁物です。破片が鍵穴の奥に入り込んでいる、あるいは全く見えない状態の場合は、迷わず次のステップに進みましょう。そのステップとは、「鍵の専門業者(鍵屋)に連絡する」ことです。これこそが、最も安全で確実な解決策です。プロの鍵師は、鍵の構造を熟知しており、折れた鍵の破片を安全に取り出すための専用工具と技術を持っています。例えば、「ピックツール」と呼ばれる細い金属の棒状の工具を鍵穴の隙間に巧みに差し込み、破片を引っ掛けて引き出したり、「グルーガン」のような特殊な接着剤を使い、破片の先端にだけ接着させて抜き取ったりします。多くの場合、彼らの手にかかれば、シリンダーを傷つけることなく、数分から数十分で破片を取り出すことが可能です。業者に連絡する際は、電話で「鍵が鍵穴の中で折れてしまった」という状況を正確に伝え、おおよその料金と到着時間を確認しましょう。料金体系が明確で、信頼できる業者を選ぶことが重要です。もし、破片の取り出しがどうしても不可能な場合や、元々の鍵穴の劣化が激しい場合には、鍵師から「シリンダー交換」を提案されることもあります。これは、鍵穴部分を丸ごと新しいものに取り替える作業です。費用はかかりますが、これを機に防犯性の高いディンプルキーなどに交換すれば、今後の安心にも繋がります。鍵が折れたというトラブルは、個人での解決が非常に困難な専門的な問題です。迷わずプロの力を借りることが、結果的に時間と費用の節約になるのです。
鍵が折れた時の正しい対処法と依頼先