キーフリーシステムの故障が、電池交換や電波障害といった単純な原因ではなく、キー本体や車両側の電子部品の不具合であると疑われる場合、私たちは専門家による修理を依頼する必要があります。その際の主な依頼先となるのが、「自動車ディーラー」と、電装系に強い「自動車修理工場」です。どちらに依頼すべきか、それぞれのメリットとデメリットを理解し、状況に応じて判断することが大切です。まず、自動車ディーラーに依頼する最大のメリットは、メーカー正規の対応であるという絶対的な「安心感」と「確実性」です。ディーラーの整備士は、自社製品の構造やシステムを熟知しており、メーカーが提供する最新の診断機器と整備マニュアルに基づいて作業を行います。使用される部品も全て純正品であり、修理の品質は最も高いと言えるでしょう。特に、イモビライザーの再登録など、高度なセキュリティに関わる作業や、保証期間内の修理であれば、ディーラーに依頼するのが唯一かつ最善の選択となります。ただし、デメリットとしては、「費用が高額」になりがちな点と、「時間がかかる」場合がある点が挙げられます。工賃が比較的高めに設定されていることや、部品の取り寄せに日数を要することがあります。一方、地域の自動車修理工場に依頼するメリットは、「費用の安さ」と「対応の柔軟さ」です。ディーラーに比べて工賃が安価な場合が多く、中古部品やリビルト品(再生品)を使って修理することで、部品代を抑えるといった相談にも乗ってくれることがあります。また、地域に根ざした工場であれば、気軽に相談しやすく、迅速に対応してくれることも魅力です。しかし、デメリットとして、工場の技術力や設備が、キーフリーシステムのような高度な電子機器の修理に十分対応できるレベルにあるかどうかが、見極めにくいという点があります。特に、イモビライザー関連のトラブルは、専用の診断機器がなければ手も足も出ません。したがって、修理工場に依頼する場合は、事前にその工場が電装系の修理を得意としているか、そして自分の車種の診断に対応できる設備を持っているかを確認することが不可欠です。
ディーラーと修理工場、キーフリー故障の依頼先