ダイヤル式の金庫やロッカー、あるいは自転車の鍵。その暗証番号を完全に忘れてしまった時、私たちは途方に暮れてしまいます。もはや自力で開けることは不可能なのか。いいえ、いくつかの最終手段が存在します。ただし、それらは時間や費用がかかる、あるいは専門的な知識を要する方法であり、実行する前によく考える必要があります。まず、最も確実で安全な方法は、その製品の「メーカーに問い合わせる」ことです。特に金庫の場合、メーカーと型番、製造番号がわかれば、正規の手順で解錠できる可能性があります。メーカーは、所有者本人であることを証明するための書類(身分証明書や保証書など)の提出を求めた上で、「非常解錠番号」を教えてくれたり、有料で解錠作業を行ってくれたりします。時間はかかりますが、金庫を傷つけることなく開けられる可能性が最も高い方法です。次に、メーカーでの対応が難しい古い金庫や、メーカーが不明な場合、あるいは緊急を要する場合には、「鍵の専門業者に依頼する」という選択肢があります。プロの鍵師は、特殊な工具や聴診器のような道具を使い、ダイヤル内部のディスクが正しい位置に来た時の微細な音や感触の変化を聞き分ける「ダイヤル解錠(探り解錠)」という技術を持っています。これにより、金庫を破壊することなく開けることが可能です。ただし、この技術は非常に高度で時間を要するため、費用は数万円と高額になるのが一般的です。そして、本当に最後の手段となるのが、「破壊開錠」です。これは、ドリルや電動カッターなどの工具を使い、錠前の部分を物理的に破壊して開ける方法です。鍵の専門業者も、ダイヤル解錠が不可能な場合や、顧客が時間をかけたくない場合に、この方法を提案することがあります。もちろん、この方法では金庫やロッカーは二度と使えなくなりますし、破壊の際に発生する火花や金属片で中身が損傷するリスクも伴います。自分で破壊しようと試みるのは、ケガの危険性も高く、絶対に避けるべきです。番号を忘れたという絶望的な状況でも、必ず解決策はあります。慌てて無理な行動に出る前に、まずはメーカーやプロの専門家に相談し、最も適切な方法を選ぶことが、被害を最小限に食い止めるための賢明な判断と言えるでしょう。
ダイヤル錠の番号を忘れた時の最終手段