認知症の家族の徘徊行動に悩み、鍵による対策を考え始めたものの、「大掛かりな工事はできない」「賃貸住宅だから壁やドアに穴を開けられない」といった理由で、導入をためらっている方も多いのではないでしょうか。しかし、ご安心ください。最近では、工事不要で、誰でも簡単に設置できる徘徊防止グッズが数多く開発されており、手軽に安全対策を始めることが可能です。まず、最も代表的で効果的なのが「サムターンカバー」です。これは、玄関ドアの内側についている施錠・解錠用のツマミ(サムターン)に、両面テープなどで貼り付けるだけで設置できるプラスチック製のカバーです。カバーには特殊なロック機構がついており、特定のボタンを押しながらでないとツマミが回せない仕組みになっています。この一手間が加わることで、認知症の方が無意識にサムターンをひねって解錠してしまうのを防ぎます。様々な形状のサムターンに対応した製品が市販されており、数千円程度で購入できる手軽さも魅力です。次に、「補助錠」も、取り付け方法によっては工事不要で設置できます。ドアとドア枠の間に挟み込んで固定するタイプや、強力な両面テープで貼り付けるタイプの補助錠があります。これらを、ご本人の視界に入りにくいドアの上部や下部に取り付けることで、物理的なロックポイントを増やし、徘徊を防止します。ただし、両面テープタイプは、ドアの材質や状態によっては十分な強度が得られない場合があるため、注意が必要です。また、鍵そのものではありませんが、「ドア・窓用センサー」も非常に有効な対策です。扉や窓が開けられると、その振動や磁気の離反を検知して、大音量のアラームを鳴らしたり、離れた場所にいる家族の受信機に無線で知らせたりする装置です。これにより、万が一、ご本人がドアを開けてしまった場合でも、即座に気づき、対応することができます。これらの工事不要のグッズは、あくまで簡易的な対策ではありますが、何もしない状態に比べれば、安全性は格段に向上します。まずは、こうした手軽な方法から試してみて、ご本人の反応や効果を見ながら、必要に応じてより本格的な対策へとステップアップしていくのが、賢明な進め方と言えるでしょう。
工事不要でできる徘徊防止の鍵対策