倉庫の扉や門、あるいは古いスーツケースなどで使われているダイヤル式の南京錠。番号を忘れてしまったり、長年使っていなかったためにダイヤルが固着してしまったりして、開かずに困った経験はないでしょうか。金庫ほど複雑ではありませんが、いくつかのコツと対処法を知っておくことで、解決できる場合があります。まず、番号がわかっているのに開かない場合です。原因として最も多いのが、ダイヤルの数字が「アライメントライン(基準線)」に正確に合っていないことです。特に、屋外で使われている南京錠は、汚れや錆で目盛りが読みにくくなっていることがあります。布でダイヤル周りをきれいに拭き、一つ一つの数字が線にぴったりと重なるように、慎重に合わせ直してみてください。また、ダイヤルを回す際に、U字型の金具(シャックル)を本体側に少し押し込みながら操作すると、内部の機構の噛み合わせが良くなり、スムーズに開くことがあります。次に、番号を忘れてしまった場合です。もし、設定されている番号が3桁や4桁のものであれば、「総当たり」で開けるという、根気のいる方法があります。「000」「001」「002」…と、全ての組み合わせを順番に試していくのです。3桁であれば1000通り、4桁であれば10000通り。時間がかかり、指も疲れますが、確実な方法ではあります。しかし、もっと効率的な方法として、いくつかの裏技的な開け方が知られています。その一つが、シャックルを引っ張りながらダイヤルを回す方法です。シャックルを強く引っ張った状態で、一番下の桁のダイヤルをゆっくりと回していくと、正しい数字の位置でだけ、ダイヤルの回転がわずかに固くなる、あるいは「カチッ」と小さな音がする感触があります。これは、内部の機構にテンションがかかることで生じる現象です。この要領で、下の桁から順番に正しい数字を探し出していくことができる場合があります。ただし、この方法は全ての南京錠で通用するわけではなく、ある程度のコツも必要です。これらの方法を試しても開かない場合や、急いでいる場合は、やはり鍵の専門業者に相談するのが最善です。しかし、最後の手段として、ボルトクリッパーや金切りのこぎりを使ってシャックルを切断するという物理的な破壊開錠も、南京錠ならではの選択肢として存在します。
ダイヤル式南京錠が開かない時の対処法