マンションやアパートに引っ越したばかりの時、あるいは普段あまり使わない実家のポストを開けようとした時、ダイヤル式のポストが開かずに困った経験はないでしょうか。一見単純そうに見えるこの鍵は、独特の操作方法を知らないと、意外なほど手こずるものです。力任せに回したり、焦ってガチャガチャしたりするのは、故障の原因になるため禁物です。まずは落ち着いて、いくつかの基本的な確認ポイントをチェックしてみましょう。第一に、最も重要なのが「操作手順の再確認」です。ダイヤル式ポストの多くは、金庫と同じように、単に番号を合わせるだけでは開きません。一般的な操作手順は、「まず右方向(時計回り)に二周以上回してリセットする。その後、一つ目の番号に合わせる。次に、左方向(反時計回り)に回して、二つ目の番号にぴったり合わせる」というものです。この「右にリセット→右で一つ目→左で二つ目」という流れが基本ですが、製品によっては「右→左→右」の三段階のものや、回転させる回数が異なるものも存在します。入居時に不動産会社から渡された書類や、取扱説明書に記載されている正式な手順を、もう一度よく確認してみてください。第二に、「番号を合わせる精度」です。ダイヤルを回す際、目的の数字が本体の基準線にぴったりと重なるように、ゆっくりと慎重に操作するのがコツです。少しでもずれていると、内部の機構がうまく噛み合わず、解錠できません。もし目的の数字を通り過ぎてしまった場合は、少しだけ戻して合わせようとせず、必ず最初のリセット操作からやり直してください。第三に、物理的な原因も考えられます。長年使われているポストの場合、内部にホコリが溜まっていたり、部品が錆びついていたりして、ダイヤルの動きが渋くなっていることがあります。また、大量の郵便物が内側から扉を圧迫し、ロック機構が正常に動かなくなっているケースも少なくありません。正しい操作をしているはずなのに開かない場合は、ダイヤルを少し押し込みながら回してみたり、投函口から薄い定規などを差し込んで郵便物を奥に押しやりながら操作してみたりすると、うまくいくことがあります。これらのポイントを確認してもなお開かない場合は、無理に自力で解決しようとせず、建物の管理会社や大家さんに連絡するのが最も賢明な対処法です。